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Q 無垢材で内装を仕上げると断熱性はどの程度向上しますか?
A 無垢材の厚さによって違います。なお、無垢材だから断熱性が高いと決めつけるのは誤りです。
1) 壁は下地材と仕上げ材でできていますが、間仕切壁は壁と壁との間に空気層があり、外壁は壁と下見(サイディング)の間に空気層や断熱材の層があるのが一般です。内装の仕上げ材による断熱性の違いを考える場合、間仕切り壁や外壁として検討しないと正確な比較はできません。
床の種類とマウスの行動:マウスに二種類の床のどちらを好むかを選ばせる実験を各種材料で繰り返した結果、スギとコンクリートではほとんどがスギ、合板とコンクリートの場合は合板、塩化ビニルと塗装合板ではほぼ同じ割合、スギとヒノキではスギ、スギと合板はほぼ同じという結果が得られました。これは木がかもし出す環境が生物とよくなじむからであると考えられます。
2) 材料が熱を伝える度合いを示すのは熱伝導率で、材料に固有の定数です。ところが材料の断熱性は熱伝導率だけでは決まらず、材料の厚さも関係した熱伝導抵抗で表されます。熱伝導抵抗は材料の厚さを材料の熱伝導率で割った値です。したがって、材料の厚さが2倍になれば熱伝導抵抗も2倍になり、断熱性も2倍に向上します。ところが壁は複数の材料で構成されているので、それぞれの熱伝導抵抗を足し合わせて求めます。
3) 主な内装材、断熱材、セメントモルタル、空気層の熱伝導抵抗[m2h℃/kcal]を示します。
石膏ボード スギ(12mm) ビニールクロス グラスウール(50mm) セメントモルタル(12mm)
| 0.06〜0.07 0.11 0.003 1.67 0.001 |
漆喰 合板(4mm) 畳(60mm) スチロフォーム 空気層(2cm以上) |
0.008 0.03 0.65 1.00 0.16 |
4) 室内側が石膏ボード下地にビニールクロス仕上げの間仕切り壁について、ビニールクロスの替わりにスギ(12mm)で仕上げた場合、断熱性がどの程度向上するか検討してみましょう。
ビニールクロス+石膏ボード+空気層+石膏ボード+ビニールクロス
=0.003+0.06+0.16+0.06+0.003=0.286
スギ(12mm) +石膏ボード+空気層+石膏ボード+スギ(12mm)
=0.11+0.06+0.16+0.06+0.11=0.500
となり、元の約1.75倍になるので断熱性はかなり向上したと感じるでしょう。ところが、グラスウール(50mm)を入れたモルタル仕上げの外壁に面した室内側の壁の場合では、
ビニールクロス+石膏ボード+グラスウール+空気層+セメントモルタル
=0.003+0.06+1.00+0.16+0.001=1.224
スギ(12mm) +石膏ボード+グラスウール+空気層+セメントモルタル
=0.11+0.06+1.00+0.16+0.001=1.331
となって、元の1.09倍にしかなりません。実際には防水紙などが加わるので、向上したと感じる度合いはさらに小さくなりますが、断熱性能が向上することは間違いありません。
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