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Q 大気中の二酸化炭素(CO2)の増加による地球の温暖化が大きな問題ですが、木材の利用がその抑制に役立つといわれます。その内容について説明して下さい。
A いま大気中のCO2濃度の上昇による、地球の温暖化が大きな問題になり、その抑制が緊急な課題になっています。二酸化炭素の増大は主に生産、交通、生活など諸活動によるもので、必要なエネルギ−を化石燃料の燃焼によってまかなっていることが大きな原因とされます。現在、早急に要求されるのはこのCO2の発生を抑え、次いで削減しながら、一定水準の生活と経済活動を続けていくための具体的な方策を見出し、実行することです。
- 1)住宅資材は木材、鉄、セメント、アルミニウムなどが主なものですが、この中で木材は植物が大気中のCO2と水から太陽エネルギ−によって作りだしたものです。その成長過程において必要な材料性能が付与されており、材料への加工は大きなエネルギーを要しません。これに対し鉄の場合は鉄鉱石からの精錬(加熱)に、また、アルミニウムはアルミナからの精錬(電解)に、それぞれ膨大なエネルギ−を必要とし、相応する二酸化炭素を放出します。
- 2)各種材料製造における消費エネルギ−(炭素放出量)を求めた結果、単位重量あたりの鋼材、セメント、アルミニウムはそれぞれ木材(天然乾燥製材)の約22倍、2倍、270倍という試算があります。このことは建築、家具などの分野で鉄、アルミ類の使用を木材に変えていくことにより、二酸化炭素の放出を抑制する効果があるということです。実際に木造、非木造の住宅を建設する際、構成部材の量からそれらの製造時炭素放出量を試算した例では、木造 1.00 に対しRC造 4.24、S造 2.87の比が得られています。このように炭素放出量という面から、木造住宅が他の工法の住宅よりも圧倒的に優れているといえます。
- 3)さらに 木材は住宅或いは木製品として利用されている間は、そこで炭素を貯蔵しており、二酸化炭素の缶詰とか住宅は都市の森林とかいわれます。使用期間が長ければそれだけ多くCO2の発生を抑制することになります。したがって住宅解体材や使用済木製品をさらにボ−ド類・その他として再利用する、いわゆるカスケ−ド型の利用が望まれるわけです。
- このように木材は再生産が可能な循環資源であり、長期にわたって利用ができ、しかも製品化のエネルギ−消費が少なく、最終的に廃棄される際も微生物によって分解され、高温で焼却すれば有害なガスは出ません。木材が「エコマテリアル」といわれる所以です。
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